No.31 ネット人として



 最近、初対面の同業の方(不動産鑑定士)を中心に、「いつもホームページを見ています」と言われることが非常に多くなった。 嬉しい限りだ。

 当サイトへの訪問者数及び閲覧数が、1週間あたり約2,000visits・20,000page-viewとなり、1年に換算すると、 およそ10万人の方が訪れ、100万ページを閲覧してくださっていることになる(※注1)。開設当初には、予想もしていなかった数字である。

 しかし、ここで私が強調したいことは、このような自慢話ではない。

 仕事その他日常生活において、我々は実に多くの人と、 「顔の見えるお付き合い」をしているが、その裏側で、インターネットというバーチャル・ワールドでは、 それ以上の「顔の見えないお付き合い」が展開されている。しかも、一旦サイトを開設すると、自分の知らないところで、 自分の書いた文章が読まれ、吟味され、批判され、あるいは共感を呼んでいる。嬉しくもあり、恐ろしくもある事態と言えるだろう。

 見ず知らずの方からメールをいただくことも多い。そのほとんどが、当サイトに好意的な内容であり、感謝の念に堪えない。 考えてみれば、批判的な意見をわざわざ送ってくる人などあまりいないであろう。Web Masterとすれば、その陰に隠れた批判的意見も 十分気になるところではある。

 ネット・デビューは、作家デビューあるいは芸能界デビューと似たところがあり、自分の文章の真意が伝わらなかったり、 誤解を受けたり、時には誹謗中傷されるようなことも考えられ、それは一種の有名税のようなものと考えなくてはならないのかもしれない。

 反面、ネット人としては、実生活の自分とは違うキャラクターを演じることもできるし、普段見せない素顔を見せることもできる。 そういう意味で、嘘をつく自由も、本音を吐露する自由も与えられている(※注2)。

 そもそも一般の個人に自由な発言場所が与えられるという、ネットの特質は非常に危険なものだ (このあたりの議論は、No.9 インターネットの功罪で展開されている) 。それゆえサイトを開設する者には、相応の高い倫理観や自制心が求められると思う。陰で何か言われるかもしれないという恐ろしさ以上に、それに対し、 こちらは一方的な意見を世界中に発信できてしまうという、サイト開設者自身が手にしているとてつもなく大きな権利を考えると、 それこそが実に恐ろしいことであると思う。

 果たしてお前は世界に対して自由に発言するに値する意見を持っているのか。それに相応する倫理観や自制心を持ち合わせているのか。 そんな自問自答をしながら、与えられたステージの大きさに身を引き締めながら、少しでも人の役に立つ内容が発信できたらと思う。

 様々な立場の人が、それぞれの意見を建設的に戦わせることこそが重要であり、それが可能なのがネット社会である。 どんな場合でも、無責任な言いっ放しはよくない。 当サイトは、私の独断的な意見展開にひとつの特質があるのだが、常にバランス感覚だけは失いたくない、と考えている。 自分の意見を発言するからには、それ以上に人の意見に耳を傾け、常に客観的公正さを追及しなくてはならない。

 これからも多くのご意見、ご批判、ご助言をお待ちしています。

2002年10月21日


※注1:このペースで1年続けば、という数字なのだが、訪問者数はほぼ一貫して右肩上がりなので、 当たらずといえども遠からずであろう。
 この訪問者数のうち、トップページからの閲覧者は2割程度にすぎないことから、 検索エンジンからの検索によって、何らかのキーワードを介して入ってこられる方が多いと思われる。 特に私自身が最も多く利用し、サイト内にも検索窓を貼り付けているGoogle利用者の訪問が多い。 一方、トップから入ってこられる方は、常連の方と思われる。ブックマークに登録してくださっているという話もよく聞く。 誠にありがたい限りである。

※注2:私も当サイトで見せているキャラクター以外に、まだひきだしに仕舞っている姿がいくつかある。 それが何かは、今のところ言わない。 それらを暴露しようと思うと、あといくつもサイトを開設しないといけないので、当面の間、温存しておこうと企んでいる。 別に変な趣味とかではないので念のため。