No.69 私がスマートフォンに変えない理由
気づけばこのページ「私の主張」には、もう2年近くも新たなコラムを 書いていなかった。
当サイトも開設から干支が一巡(12年が経過)し、更新頻度が著しく落ちていることに対し、 「最近、あまり更新していないですね」という苦言を戴くこともしばしば。 裏を返せば、定期的にご覧戴いている方も少なからずいらっしゃるということで、 たいへんありがたい。もっと積極的に情報発信してゆかねばと、決意を新たにしている。
久々の更新であるにもかかわらず、がっかりさせるようなテーマで申し訳ないのだが、 世の中のスマホ、スマホ大合唱に少し嫌気がさしているので、私の考えを表明しておきたいと思った次第である。
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僭越ながら、私は仲間内ではPC関係に非常に強い人と思われているのだが、 そんな私がガラケー(ガラパゴス携帯=従来型の多機能携帯電話)を使っているのを見て、 非常に不思議がり、「え゛っ、スマホじゃないんですか?」とか、「何かポリシーでもあるんですか?」 と聞かれることが少なくない。
今日はその理由を、ここで端的に述べてみたい。だからもう、面と向かって私に詰問しないで頂きたい。
ひとことで言ってしまえば、べつにポリシーというほどのものではなく、 単に私のニーズにスマホが全然合わないから、使う気になれないだけなのである。具体的には、以下。
<私がスマホにしない理由>
1.スマホはバッテリーの持ちが悪すぎる
2.タッチパネルが究極に嫌い
3.ゲームなどはまったくしないし、スケジュール管理もデジタルではしない
4.仕事で必要ならPCを持ち歩く
5.パケット通信は極力したくない
1.スマホはバッテリーの持ちが悪すぎる
私は携帯でワンセグをよく見るのだが、 今使っている機種は、節電モードだと連続約6時間ワンセグを見続けられる。 実際、そこまで見ることはもちろんないのだが、何か別のことをしながら、2時間くらいワンセグをつけっぱなしにしていても、 利用に何らの支障もない。1日安心して使える。
プロ野球ファンの私は、シーズン中、試合中継開始時刻までに帰宅できないときには、 帰路の電車内で、あるいは飲み会等の席上でこっそり、ワンセグで観戦する。試合中はとりあえずつけっぱなしにして、 別のことをしていることも多いのだ。このようにワンセグのほか、おサイフケータイ、ミュージックプレーヤーが必須で多用している私でも、 通常の使い方ならば、充電は3日に1度くらいで十分。
2.タッチパネルが究極に嫌い
キーを打つ時に、わざわざ手元を見るのは非常にストレスを感じる。 PCに慣れていると、タッチタイピング(ブラインドタッチ)が当たり前。 PCのようなQWERTYキーボードでなくても、テンキーのついているケータイなら、同様にほぼブラインドでサクサク打てる (テンキーは5番に突起があるから)。 だから、画面を見ないと操作できない、クリック感がない、反応にバラツキがある・・などは、許し難いのだ。
3.ゲームなどはまったくしないし、スケジュール管理もデジタルではしない
電車内等でスマホをいじっている人の大半は、ゲームをしているか、何かサイトを見ているか、
メールを打っているか、スケジュール確認しているか等であろうと思う。
私は、ゲームというものをまったくしないし、携帯で暇つぶしにサイトを見たりはしない。
メールは打つが、上述の通りタッチパネルは大嫌い。スケジュール管理をデジタル機器でやろうなどとは思わない。
デジタル機器をよく使っている人間は、それがいかにあてにならないものかを知っている。
デジタルなどまったく信用していないのだ。
だから、大事な情報は絶対に「紙」。紙の手帳に勝るものなどないのである。
スケジュールを人と共有する必要もないので、自分の手帳の中だけにあれば十分。
「手帳忘れたらどうするの?」と聞く人もあるが、それなら「スマホ忘れたらどうするの?」と聞きたい。
4.仕事で必要ならPCを持ち歩く
自由業の私は、PCがなければ、まったく仕事にならない。だから、必要とあれば、
愛用ノートPCを必ず持って出かける。
スマホではオフィスソフトを開けるとか、簡単な文書の修正程度ならできるというが、
そんなものではまったく事足りない。様々なソフトをPCと同じ環境で使えなかったら、
仕事の役には立たないのである。
5.パケット通信は極力したくない
私は、現在のガラケーでもパケット定額制に入ってはいるが、
上限まで使ったことは、ほとんどない。ネットを利用するとすれば、列車時刻検索(乗り換え案内)くらいのもので、
暇つぶしにネットを見るなどは、まったくしない。そんな暇があるなら、本を読むからだ。
パケット通信ほど、お金と時間の浪費はないと思っている。
今、世界的に、パケット定額制から従量制への流れが起きている。
日本も近い将来そうなった時、ほぼ休みなく通信し続けているスマホなど、金食い虫以外の何物でもない。
その時になって泣いても遅いのだ。
ここまで悪態をついてきたわけだが、 私がスマホに変えるとしたら、上記要求を全部満たしてくれる機種が現れた時である。
"識者"の中には、どうせそのうち全部スマホになるのだから、毛嫌いしないで早いうちに慣れておいた方がよい などと忠告する者もいるが、少なからぬ人々のニーズに合わない商品を押しつけるなどは、 暴力である。携帯会社は通信料が稼げるから全部スマホにしたいのだろうが、 それは消費者のことを考えない手前勝手な論理である。
テンキーがついていて、ワンセグを3時間くらいは安心して見られて、 同じ日に音楽を1時間くらいは聴けて、おサイフケータイもちゃんと使えて、 赤外線通信ができて、メールでは従来の携帯アドレスが使えて、 サーバーを経由しないショートメールが使えて(まあ、これは無理だろうが)、 充電は3日に1度くらいで十分な機種。そんなスマホが現れたら、変えてもいい。 もちろん、常時通信を行うアプリなどは、絶対に載せない。
日頃デジタル機械を使いこなしている人ならば、きっと同意して頂けるに違いない。 スマホは「帯に短したすきに長し」であり、現状ではまだ使い物にならない。少なくとも私にとっては。
スマホでないとイケてない、遅れてる、みたいな風潮は、 機械音痴たちが作りだしているのだ。
(追伸)スマートフォンを愛用している方を批判する気持ちなどはまったくないので、 念のため申し添えておく。自分のニーズに合うのなら、大いに使うべきだ。大いに使って、 携帯会社の収益と、日本経済の浮揚に貢献してください(・・こういう書き方をするから、 無用の軋轢を生んでいるのかな・・)。
2012年3月1日